2025年6月12日、インド西部で旅客機が離陸直後に墜落した事故で、航空会社は乗客・乗員242人のうち生存者は1人で、241人が死亡したと発表しました。
12日午後、インド西部のアーメダバード空港近くで242人を乗せた旅客機が離陸から約30秒で市街地に墜落しました。
乗客はインド国籍169人、イギリス国籍53人などで、在インド日本大使館は日本人はいないとしています。
生存者一人はインド系英国人の男性、ビシュワシュ・クマル・ラメシュさん(39歳)です。
このビシュワシュ・クマル・ラメシュさんは「11A」という座席に座っていましたが、何故このシートに座っていたおかげで生き残れたのでしょうか?
そのあたりを徹底考察します。
①機首側の11Aという座席に座っており、窓側だったため。
②浮力が得られす、機首から地面に衝突した瞬間に折れた又はひびが入り、その後の大爆発の際に弾き飛ばされ火災に大きく巻き込まれなかったため。
事故の内容
墜落機の詳細
墜落した飛行機の詳細を以下にまとめました。
・飛行機の型番
米ボーイングの「787型」で世界で約1100機が運航する。ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんはAI171便に搭乗していた。日本とも縁が深く、日本企業が機体の部品の3割超を製造している。787の墜落事故は初めて。
・ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんが座っていた座席
11Aで非常口のすぐ近くです。この席に座っているとよくCAさんに「非常時の際はご協力をお願いします」と言われる席
・墜落機の運行状況
2011年から運航し、これまでに500万回以上の運航歴があり10億人以上の乗客を運んできた。 日本でもANA・JALが多数採用。世界の中型機市場の中核を担ってきた機種
墜落の状況
墜落の状況を以下にまとめました。
・「フライトレーダー24」をみると、離陸から約4分後に190mまで上昇も、以降の記録が途絶える。
・「メーデー」発信後まもなく墜落した。この機は10日に羽田空港に着陸し、同日デリーに折り返していた。
・日本航空の元機長 小林宏之氏は「こういった事故は聞いたことがない。『ボーイング787型機』は機体もエンジンも非常に信頼性が高い」 「離陸直後なら機首がもっと上向きのはず。当該機は揚力を失ったように見える。パイロットは揚力を得ようと機首を上げているが、それができずに墜落か」 「エンジンが一つでも稼働していたら十分飛行は可能。2つのエンジンが停止した可能性」と示唆している。
・小林氏は2つのエンジンが停止したことを示すものとして『フライトレーダーの記録』をあげる。
航空機の電源は主にエンジンで発電 →約190mでフライトレーダーの記録が消えた →電源が失われた=エンジンが停止と考えられる。
・▼考えられるエンジン停止の原因 ①エンジン自体のトラブル ②エンジンに燃料を送る系統のトラブル ③バードストライク
被害状況
被害状況を以下にまとめます。
・乗員242人のうち生存者は1人で、241人が死亡
・被害者はインド人169人、イギリス人53人、ポルトガル人7人、カナダ人1人で中には子供もいたそうです。日本人はいませんでした。
・墜落は住宅街で発生したため、地上での被害もかなりのもの。巻き込まれた地上の建物に医師用の宿舎があったとの報道。既に学生5人の死亡、50人以負の負傷が確認されていることからこの宿舎にいた医学生の可能性がある。
ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんについて
唯一の生存者であるビシュワシュ・クマル・ラメシュさんについての情報は以下になります。
インド生まれ39歳、20年前から英国在住 インドの家族の元を訪れ兄と英国に戻るため墜落機に搭乗
なぜ、ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんは生き残れたのか?
①座席の位置が11Aだったから
まずは過去に発生した飛行機事故の生存者の座席位置を確認しましょう。
事故名(年) | 航空会社/便名 | 生存者数 | 座席位置(生存者) | 備考・要因 |
---|---|---|---|---|
アンデス山脈の奇跡(1972年) | ウルグアイ空軍571便 | 16/45人 | 後方座席(15列目以降) | 墜落時に前方が大破、後部が比較的無事 |
ユナイテッド232便(1989年) | ユナイテッド航空232便 | 185/296人 | 主翼より前方/後方左側 | 機体コントロール不能、機体分解は免れた区域 |
エアフロリダ90便(1982年) | エアフロリダ90便 | 5/79人 | 後方の窓側 | 川に墜落、水没から逃れた |
ブリティッシュ38便(2008年) | ブリティッシュ・エアウェイズ38便 | 全員生存(152人) | 全座席 | 着陸失敗だが衝撃が小さく、脱出成功 |
ハドソン川の奇跡(2009年) | USエアウェイズ1549便 | 全員生存(155人) | 中央~後方、非常口付近(11~15列) | 水上着陸、非常口から迅速脱出成功 |
アシアナ214便(2013年) | アシアナ航空214便 | 291/307人 | 中央~前方 | 後部が滑走路に衝突、大破 |
日航123便(1985年) | 日本航空123便 | 4/524人 | 尾部近くの座席 | 機体尾部に損傷、後部の一部が衝撃を免れた |
このように見ると、非常口に近かったり、窓際の人が多く助かっている傾向に見えます。
アメリカの『ポピュラー・メカニクス』誌(2007年)の調査や、FAA(アメリカ連邦航空局)の過去の統計では以下の傾向があります
生存率が高い座席位置:
- 一般的に後方座席(尾翼に近い)のほうが生存率が高い傾向。
- 非常口近く(特に主翼上)は脱出しやすく、火災など二次被害を避けやすい。
前方座席は危険か?
- 墜落の状況による。前方が激突すると致命的になりやすいが、制御された緊急着陸なら安全性は高くなることも。
今回の事故ではビシュワシュ・クマル・ラメシュさんが座っていた座席は11Aで非常口のすぐ近くです。この場所はかなり飛行機の前側、つまり機首に近い方になります。
非常口近くというキーワードはあっていますが、後ろ側、つまり尾翼側にいたわけではなく、前側の機首側です。
ただし、尾翼側でも多くの方が亡くなっているケースもあるので、一概には言えないかもしれません。
②非常口を開けて飛び降りた
Xでの書き込みでは「非常口を開けて飛び降りた」とありますが、この可能性はほぼないと思われます。
理由としてはビシュワシュ・クマル・ラメシュさんの発言で、「気づいた時には、人の体に囲まれていた。恐ろしかった。立ち上がり、走った。機体の残骸がそこら中に転がっていた」と言っているので、その場にいたことになります。
また墜落直前とはいえ800kmから900km程度で飛行します。離陸時には時速300km、着陸時には時速250km程度の速度で飛行します。
そんなスピードでしかも数十メートル上空から飛び降りて助かる訳がありません。
また飛行中、飛行機は気圧をコントロールして高気圧になっており、このため、扉を外に押し開けるには数トン〜数十トンの力が必要になります(人間の力では絶対に不可能)。
この事から飛び降りた説はありえません。
この発言はあくまでも、墜落後の話で墜落後、自力で非常口を開けて飛び降りたそうです。
その後に近くにいた人たちに救助されて病院に行きました。
③機首が上がっていなかったから
先ほど、日本航空 元機長 小林宏之氏が「離陸直後なら機首がもっと上向きのはず。当該機は揚力を失ったように見える。パイロットは揚力を得ようと機首を上げているが、それができずに墜落か」とありました。動画を張り付けておくので見て下さい。
「機首」が上がっていないという事は飛行機は機首から地面に当たったのではないでしょうか?
次に燃料を積んでいる翼が地面に当たり大爆発を起こしたのではないでしょうか?
つまり機首については最初に強い衝撃を受け、恐らくこの瞬間に折れた、またはヒビが入ったと思います。
そして次の瞬間、翼の燃料が爆発したことでヒビが入った機首は前にはじき飛ばされたのではないでしょうか。
よって、その後に発生した火災に巻き込まれずに生き残れたのではと考察します。
尾翼は画像を見る限りでは人が座っていた座席までは残っておらず、機首側だけが唯一、残っていたのでしょう。
他は爆発してしまったので生存が難しかったのではないかと考えます。
そうするとビシュワシュ・クマル・ラメシュさんの隣や、機首付近にいた人は何故助からなかったのでしょうか?
ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんの話では「気づいた時には、人の体に囲まれていた。恐ろしかった。立ち上がり、走った。機体の残骸がそこら中に転がっていた」とうい言葉から人の原型はとどめていたのではないでしょうか?
人と認識できているので、残念ながら亡くなってしまいましたが、遺体の損傷具合は翼付近や尾翼側の座席に座っていた人たちよりも軽度ではないのでしょうか?
よって、今回の生存者は1人ですが、もしかしたら機首側にいた数人も生き残るチャンスがあったのかもしれません。
④お兄さんがかばってくれた可能性
ビシュワシュ・クマル・ラメシュさんはお兄さんと搭乗していた事がわかっています。
このお兄さんがどこに座っていたかは不明ですが、普通に考えれば、隣の席だったと考えられます。
なのでもしかしたらとっさに、弟を助ける行動をした可能性もあると感じました。
しかし、その後の情報で、直前でチケットをとった為、2人の席は別々だった事がわかりました。
なので、お兄さんがかばってくれた可能性はないと考えられます。
お兄さんは未だに見つかっていません。
生き延びたビシュワシュ・クマル・ラメシュさんは、「一刻も早く兄を見つけてほしい」とメディアに話しています。
まとめ
①機首側の11Aという座席に座っており、窓側だったから。
②浮力が得られす、機首から地面に衝突した瞬間に折れた又はひびが入り、その後の大爆発の際に弾き飛ばされ火災に大きく巻き込まれなかったから。
今回の墜落事故は過去10年でもインド史上最悪の死者数を出してしまった事故です。
早急に原因を突き止め、今後このような事故が起きない事を心から願います。
そして、亡くなってしまった方々には心よりご冥福をお祈りいたします。
事故にあってしまったパイロットについても記事にしているので是非見て下さい。

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